あなたと描く、次の「いい布」

あなたと描く、次の「いい布」

多くの方との関わりの中で布、特に織物生まれます。そして紙に絵を描く以外のことも重要なテキスタイルデザイナー(織物のデザイナー)という役割。

 

次はあなたと一緒にものづくりができましたら嬉しく、

テキスタイルデザイナーとして、これまでの活動と、最近の織物づくりについてご紹介します。

 

 

国産織物の魅力を引き出す北欧デザインの可能性

日本の美術大学、その後2005年からスウェーデンの美術大学院でテキスタイルを専門に学び、その後10年程スウェーデンを拠点として織物のデザイン、生地を制作してきました。

スウェーデン王室御用達のリネン会社Klässbols Linneväveri (クラスボルス)に初のヨーロッパ人以外で初のデザイナーとして採用していただくなど、北欧を拠点にテキスタイルデザイナーとして活動していました。

またスウェーデンでは、インテリア雑誌に制作したテキスタイルの作品を紹介していただいたり、スウェディッシュデザインの今を表現する若手デザイナーに選んでいただいたくなどしました。

 

そのような中、スウェーデンに視察にいらっしゃった山梨の織物職人さんとのご縁。

 

「山梨の織物工場に一度来てほしい」と言われ、日本に帰国した際に訪ねてみると、織物職人さん達が繊細で非常に美しい織物を織り上げている様子にとても感銘を受けました。この世界に通用する日本の織物技術。これに、私がこれまで北欧で培ってきたテキスタイルデザインを掛け合わせたら、どんな織物をつくることができるだろう?と、日本でのものづくりにとても興味を持ちました。その想いを実現させるため、2016年、日本に戻り山梨に移住

 

スウェーデンの織物会社と仕事をしている様子

 

10年住んだスウェーデンの首都、ストックホルム

 

織物職人さんとの開発で広がるテキスタイルの可能性

日本の織物職人さんとのものづくりはまた新しい挑戦であり、学びの連続でした。スウェーデンで織物製品の開発に関わった経験が、国を変えてどう生かしていけるか、悩むこともありました。うまくいかないことも、想像以上に素敵なものが創り上げられたことも経験しながら、新しい布作りを山梨の職人さんとさせていただきました。

山梨には、バリエーション豊かなテキスタイルを生み出すことの出来る織物工場が数多くあります。織れる素材や織機の性能も工場によりそれぞれ特徴が異なります。最新のコンピュータージャカードで織る総柄のテキスタイルや、100年以上前に作られたシャットル織機でゆっくりと織ることで優しい風合いの織物が仕上がるなど、織機によってテキスタイルの表情が変わります。金糸を使ったキラキラな金襴緞子の織物、オーガニックコットンを使った肌にも環境にも優しい織物、ポリエステルを使うことで撥水加工を施せる傘用の織物。肌触りの良い服地、インテリア用の生地など、日本の織物職人さんとのものづくりは、素材や技法を知れば知るほど、私のものづくりを豊かにしてくれました。

様々な用途のテキスタイルを作ることの出来る産地の魅力を感じました。反面、それぞれの織元さんの得意分野、特性や人となりを知らないと、職人さんとデザイナー、お互いの力を発揮しきれないということも大きな経験となりました。

多くの職人さんと親しくさせていただき、それぞれの織元さんの持ち味やものづくりへの向き合い方を理解し、また所有する機械の特徴、得意分野を見極めることにより、共に気持ちよく仕事ができる方法を探っていきました。

 

 

 

テキスタイルを創りたい方の相談役として

上の写真は、槙田商店さんで生地を織っている様子です。槙田商店さんは江戸末期創業、傘生地の製織から縫製や組立てまで一貫生産出来る世界で唯一の会社です。その150年以上の歴史がある槙田商店さんから新しい傘のデザインをとご依頼を頂きました。槙田商店さんを見学し、織物工場にある歴史を感じる膨大なアーカイブ、生産した生地の記録帳に目が止まりました。そこで「過去に社で生み出した織物の柄を元に、今の新しい技術で傘を作ったら面白いのではないか」と提案。何冊もあるアーカイブの中から「ほぐし織」に着目、和のテイストに北欧のエッセンスが入るデザインを施した結果、和装にも洋装にも合う新しい傘が誕生しました。その傘踊る」は好評いただき、第二弾の「ローズ」も考案させていただきました。

これらの傘はアメリカからも注文があったり、フランス人にお求めいただいたりし、日本の素晴らしいものづくりは世界を魅了する力があると感じました。

社長・槙田洋一さんから「堀田さんのセンスでデザインしていただいたことで、槙田商店にとっての1つの新しい柱が出来た。織物のことをよく理解しているデザイナーでありパートナーとして、共に歩んでいきたい。」とのコメントをいただきました。職人さん、製造元、そしてデザイナーで組むことで、伝統を大切にしながら革新をしていくことができる可能性を感じています。

 

アーカイブの生地記録帳とそこからデザインした傘生地「踊る」

 

にも、ネクタイやバッグなど、職人さんとのものづくりは様々なファブリックアイテムとして展開しています。

最近では、インテリアで使うテキスタイルの開発相談やオリジナルの柄でテキスタイルを作りたいアパレル企業さんからのご相談が増えてきました。美術館のオリジナルネクタイや、山梨県から県民栄誉賞で贈呈されるメダルの帯など、少し特殊な品物も納めさせていただいています

主には生地でお届けしていますが、縫製してご希望の製品にして納品する場合もあります。また刺繍のための図案を提供させていただくことも可能です。

 

織物の世界は少しだけ特殊で複雑ですが、素材や職人さんの技術を理解することで、スムーズにより良い布を作ることができます。

オリジナルの魅力的なテキスタイルを作りたい、国産の布製品を検討中、物件に合ったインテリア生地を制作したいなどとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

 

あなたと描く、次の「いい布」、楽しみです。

 

 

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